オフシェアでお願いします
「オフレコでお願いします」なんて言葉がある。インタビューなどで、この話は記録せず表に出さないでください、という意味の言葉だ。インターネット上でも同じような言葉はないだろうか。例えば、ここで書いているこの文章は拡散されたくない。だから、シェアしないでください。今ここに辿り着いた私とあなただけの秘密。仮に、万が一、億が一、面白いと思ってもらえたとして、それでもシェアしないでほしい。オフレコ、いやオフシェアでお願いします。
オフレコ=Off the recordの略らしい。オフシェア=Off the share、今ここで作りました。SNSでのシェアは禁止という意味です。たぶん文法的に間違っている。まぁ、英語的には間違っている和製英語なんていくらでもあるのだから。なんとなく意味が伝わればいいでしょう。
なぜシェアされたくないのか。自分でもよく分からない。おそらくアテンション・エコノミーとかエコーチェンバーとかそういうものに対する警戒と反発だろう。世の中は注目されることに価値が付きすぎた。もっと注目されないことの価値が見出されても良いのではないだろうか。しかしそれだと「注目されないこと」に注目が集まってしまう。ダメだ、矛盾してしまう。注目されないことは注目されないからこそ価値があるのだ。
話は変わるが近所にボロボロの定食屋がある。週一はそこに通っていると思う。とにかくカツ丼が美味い。知る人ぞ知る店という感じだ。たぶんこの店は、どんなに検索が上手な人でもネット上では見つけられないと思う。そうだ。僕は今文章を書いているこの場所が、この定食屋みたいになることを望んでいるのだ。どこかでばったり出会うことでしか見つからない場所。だからどんなに善意だとしても、シェアしてほしくないんだ。きっとあの定食屋も食べログで☆5を付けてほしいなんて望んでいない。いや、それは言い過ぎかもしれないけど、近所の人に愛されながら十分繁盛しているのだから、これ以上望むものは健康以外にないんじゃないだろうか。
しかしシェアを禁止したところで、原理的に不可能だ。だからこちらから望みを伝えることしかできない。もしシェアされようものなら法的措置も辞さない覚悟ではあるのだが、一体どんな法的措置を取ることができるのだろう。とりあえず本サイトはオフシェアでお願いします。