花粉が辛い季節になってきたらしい。いや僕自身も辛いのだけど、僕の花粉症はたぶん幅広い。というのも僕が一番辛い時期は11月終わり頃だ。寒くなり始めたころにやってくる。とにかく涙が止まらない。そこから春頃までずっと続く。一年の半分以上は辛いということになるかもしれない。それはつまり辛いのが正常で、辛くないのが異常ということになるのかもしれない。

いや実は僕の鼻に辛くない時期なんてものはない。おそらく生まれつきの鼻炎で、物心ついたときからずっと鼻が詰まっている。正確には片方の鼻が常に詰まった状態となっている。といっても右の鼻が常に詰まっているとかではない。面白いことにそれはコロコロ移動する。右の鼻が詰まっているときは左の鼻は通っているし、左の鼻が詰まっているときは右の鼻は通る。まるで鼻の中にビー玉が入っていて、コロコロ移動してどちらかの穴を塞いでいるかのようだ。人体というのは不思議だ。

こんな風に数十年生きてきたわけなので、両方の鼻が通っているという状態を僕はまだ知らない。もしそんな状態になれたのだとしたらどうなるのだろう。もっと集中力が続いたかもしれない。もっと運動能力が高かったかもしれない。もっと勉強ができたかもしれない。よくよく考えてみると人それぞれなんらかの枷があるのかもしれない。目に見える形で病名が付いていなくても人はみんな違った何かを抱えているはずだ。しかしそれは知りようがない。例えば常にダルい状態の人がいるとして、人と比べてダルい状態で生活しているなんて知りようがない。だってダルいのが普通の状態なのだから、それがその人にとっての正常になってしまう。そもそもどちらが正常でどちらが異常かなんてどうやって決めるのだろう。他人の身体に乗り移ることができない以上、原理的に比較は不可能だ。

そんな人それぞれの感覚というものがありながら、世の中が回っていることが不思議でもあり、面白くもある。