ジャンル偽装
世の中には「ジャンル偽装」とでも呼べるようなものがたくさんあると思っている。身近な例を挙げると付録つき雑誌だ。あれは本を装って付録を売っている。付録がポーチであるとすると、本来は雑貨屋などに置かれるべきものが本というジャンルに偽装することで本屋に置かれるということだ。他にもおもちゃつきのお菓子なんかもある。子どものころよく買ったのがビックリマンチョコだ。あれはお菓子にシールが付いていることになっているが、本体はシールだ。みんなあのシールを目当てに買っている。あれをお菓子として売ることでコンビニや駄菓子屋に居座ることができる。立派なジャンル偽装だ。
ジャンル偽装自体は悪いことだとは思わない。どちらかというと売るための戦略といったところだろうか。しかし行き過ぎると弊害も生まれる。子どものころ例に漏れずビックリマンシールを集めていたが、ヒドい人はチョコを捨てていた。子どもながらにそれは間違っているだろと思っていた。僕は自分が食べられる分しか買わなかったし、捨てるくらいならということでその友だちからチョコをもらっていた。あいつは今何をしているのだろう。話が逸れてしまった。一時期話題にもなったのが握手券つきのCDだ。あれはCDを売っているのではなく握手券を売っている。それは火を見るより明らかだろう。そもそもCDなんて1枚あれば十分なんだから。複数枚買っている時点で本来の目的からしておかしい。ビジネスとしては正しいのかもしれないが、ジャンル偽装の罪は重い。
ジャンル偽装はモノだけではない。コンテンツにもあると思っている。ほのぼの系だと思っていたらミステリーだったり、ホラーだと思っていたらコメディだったりする。僕が好きだったのは佐久間宣行の『SICKS〜みんながみんな、何かの病気〜』というコント番組だ。この作品に触れる以上ネタバレは避けられないので予めご了承いただきたい。このテレビ番組はコント番組という形で始まった。初めの数回はいくつかのシチュエーションコントが羅列されているだけの普通のコント番組だった。しかしある回から急激に話が展開する。これまで別々のコントだと思っていた話が繋がりはじめる。そう、実は1つの大きな物語を描くドラマだったのである。後半はもうコント番組の雰囲気は消えドラマになる。もちろんベースはお笑いではあるのだが。これはれっきとしたコント番組を偽装したドラマなのである。また、最近でいうと藤井健太郎の『大脱出』シリーズも挙げられる。これは一見よくあるバラエティ番組のように見える。芸人が閉じ込められた空間から謎解きをして脱出を試みるという内容だ。しかし実はこれもある種のドラマ(フィクション)なのだ。バラエティ番組として見てしまうとヤラセを感じてしまう部分がある。この展開都合良すぎない?とか。でも本当の正体はバラエティを装ったフィクションなのだ。そこを見誤ってしまうと”バラエティ番組として”面白くないと感じてしまう。
ここで挙げた例以外にも世の中にはジャンル偽装しているものがたくさんある。その偽装はあからさまでない場合もある。そのような場合において、その偽装を見破れなければ正当な評価ができなくなってしまう。ジャンル偽装には目を光らせていきたい。